-読書感想- AR三兄弟の企画書

AR三兄弟の企画書

業務的にAR施策提案も始まってきているので、焦って本を読む事にする。

いわゆる携帯カメラ起動して実風景の上にキャラが出てくる系のARはパブ狙いで生活者の実利が薄い事例が多いので、ARの広告利用には前向きではない。コンテンツが有益なのではなく、ARの仕組みが新鮮味の意味だけで一回だけ有益なだけだからだ。

そんな最中この本を手に取ったのは、三兄弟という響きが安っぽいし本のデザインからしてキャラ出る系に夢中な技術オタっぽく見えたので、AR(キャラ出るAR)の広告利用を否定する材料としての為だった。

ところが!!この本は意外と良書だった。ARがどうこうというより、アイデアの出し方や結果の出し方のヒント等、川田氏のロジックが詰まっている。

最後によくある

「この話を振ってくれた編集者さん、支えてくれた友人、そして執筆に時間を割かせてくれた妻に、この場を借りて感謝を伝えたいです」

というセオリーは普段は歯が浮く感じがするのだが、この人が言うと腑に落ちた。読んだ後に「こいつイイ奴だな」という感情が強く残った。

是非絡んでみたいと思ったが、キャラ出る系ARで前衛的施策になってしまうウチの仕事の相談は失礼に感じたw おもろい企画になりそうな種があったら相談してみよう。

根拠があった上でのプライドの高さが垣間見れるからこその、自分の今の感情なんだろうな。先行者ナルシズムが無いのも川田氏の特徴か?

気になったポイントとしては

・NHK天才テレビ君で生放送ARやった。
⇒IT教育玩具を作りたい自分としては、子供向け番組でのAR活用事例は前のめりになった。
・映画館でARやった。携帯使っちゃダメな場所で携帯使わせた。
⇒禁煙看板の前でタバコ吸うような事。世の中にFUCK YOUしちゃうあたりに共感。
・ドラクエ3で賢者になるには悟りの書が必要。しかし遊び人という職業は悟りの書が必要無い。
⇒自分に好都合w
・物語は、”介在の余地・余白を与えること” により、現実になる。
WADAから学んだ事。超同意。
・知覚にはごく短期的な記憶が宿る
⇒サイトナビゲーションの設計に役立ちそうだし、コミュニケーションデザインの核にもなりそうな切り口だな。
・縮小現実について、ダイアログインザダークとくらやみ食堂に言及。
⇒キャラ出しAR以外も全体的に否定的だったのだが、自分が大好きな制限・規律設定コンテンツにも触れていたのは新鮮。感覚や妄想の拡張という方向からARに戻すというのもありだなと思わせられた。
・メディア=middiumの複数形が語源。人と人との間にある空白にまつわるものがメディア。
⇒ “メディア=ただのタッチポイント” としか思っていなかった自分には良い指摘。この考えでいくと、”ソーシャルメディア” という括りは気持ちが悪くなってくるかも。

といったあたり。まったくただの技術オタではなかったw

ウチにおいては、現時点のセカイカメラの実理性の薄さから、「ARはないね」的な空気感があるが、ustreamなんかよりも遥かに可能性のある切り口だと確信した。
位置連動やリアルタイムログ化と組みあわせると、酔うようなライフログ×AR体験が出来そう。
日常に起きていそうな事として

A君 「お前が教えてくれたあのAV。超ヌケるね!」
B君 「教えたっつぅか、twitterでつぶやいたんだったと思う」
A君 「あぁ・・・そうだったっけ」
B君 「ツタヤで借りたの?」
A君 「ん~DMMでDLしたんだったけかな?・・・」

ネタはAVじゃないにしろ、こんなオンラインかオフラインか分からない時代になってきた中で、ARが入ってくると、何がなんだか分からなくて面白くなりそうだw
もうちょっと時間が起つと上記の会話に

B君 「君のアカウントIDに行動履歴があるっしょ。確認してやるよ」

というのが追加されるんだろう。

疑似体験に走りすぎたからこそ?WEBに飽きてきてるので、リアルを拡充してくれるであろうARには興味深々になった。

さっそく広告利用でのジャストアイデアが浮かんだ。

動く歩道において、壁に自分が映りどんどん服装が高級になり、表情も自信に満ち溢れたものに変化していく。「なんじゃこりゃぁ!」と思っている最中歩道が終わり、目の前にはリクナビの広告が出る。

これ実現したら賞確実だなw

COMMENTS & TRACKBACKS

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  1. お久しぶりです。やっぱ相変わらず面白いし、進化し続けていますね。いつかほんとに仕事でご一緒したいです(こればっかだけど)。

  2. Tさんこんにちは。いつもコメントありがとうございます。
    最近は実製作に進む事が出来ずw 日々妄想する事が出来ております・・・。
    コンプライアンスなんか抜きにいつでもご相談下さいねw 基本会社に対するロイヤリティーなんて皆無ですので。
    ※でも不器用なウチの会社は憎めない存在です。

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