テレビと代理店のビジネスについて で書いたような事をモヤモヤと考えていた最中、ヒントになりそうな本だったので手に取った。2011年8月頃の読書。
1:ヤフーコネクトテレビは、2011年春から第三者の開発した有料のテレビアップスを販売するアップストアの開設を発表。第三者のアップス開発者のために、すでに開発キットの提供を始めています。~中略~ サムスンはヤフーコネクトテレビの市場を積極的に開拓しつつあります。日本メーカーの巻き返しが期待されるところです。
⇒日本に居ると、そんなテレビがあってサムスンが一歩リードしてるなんて事すらも知らないな・・・w
2:オペラ・ソフトウェアは、ブラウザ「オペラ」を提供してきたベンダーです。同社は、欧州におけるHbb TVの台頭を受け、Hbb TV用のプラットフォームの開発・提供を開始。さらに2010年秋ごろからは、次世代インターネットの標準規格HTML5と連動して稼働するテレビアップスの開発に着手しています。
⇒テレビとPCは技術的にほとんど同じ状態にあるという事が明白な感じがするな。
3:インターネットとテレビが一本化する流れは、もはや止めようがありません。テレビ広告費が拡大するか縮小するかは不明ですが、少なくとも「無料番組の合間にCMを流す」という旧来の広告スタイルが激変することは、間違いないと言えるでしょう。
※テレビ広告は、2010年代には「アップス広告」へシフトすると見られる
⇒BSなど多チャンネル展開によって、自らマス媒体を抹消しているテレビなので、”マスの強み” を売りにした広告収入は成立しなくなる感じがする。
4:実際米国では、広告効果を表す視聴率への要求は年々厳しくなり始めており、予定視聴率が取れない場合には、地上波は広告費のキックバックの実施を約束させられるところまで事態が進んでいます。
⇒視聴率至上主義だったからこその自滅とも言えるが、想定視聴率を超えた場合に追加請求が可能であれば、成立するかも。そもそもテレビはリーチを目的とした博打だと思うので、厳密に測る事が馬鹿馬鹿しい媒体な気がする。
・・・とは言え、多チャンネルでセグメントされた番組内容を展開する上で、アップスやらWEB回線を活用したツールが普及すると、WEBと同じログ解析が可能になってしまうな。避けては通れない道だ。
5:CBSがスポーツ中継などをテレビで見ながらスマートフォンなどでコミュニケーションできる無料アップス「TV・COM Relay」を2010年9月より提供し、すでに1500万人が参加しています。
同じくABCも、放映されているドラマの進行に合わせてトリビアクイズや出演者の近況などを調べられるアップスを提供しています。このアップスは少々ユニークで、テレビ画面から流れる映像ショーの音声をアップスが拾い、動作するようになっています。つまり、本放送にも見逃し放送にも対応できるわけですね。視聴者はもちろん、広告主にも喜ばれるユニークなアップスです。
⇒スポーツだと解説者が喋る前から自分の知りたい情報を得て視聴出来るというメリットがあるな。1500万人は日本の感覚だと凄い数だな。
6:NHKは、2010年の紅白歌合戦用に「紅白ツイッター」を準備。NHKの公式サイトおよびツイッターの特設サイトにてツイートをリアルタイム表示し、ソーシャル視聴を大いに盛り上げていました。また、2010年3月の放送記念日番組中には、視聴者の電子メールなど放送画面に表示するなど、ソーシャル型の番組作りに挑戦しています。
NHKの場合、見逃し放送のNHKオンデマンドをいち早く開始するなど、スマートテレビ時代に向けて積極的な取り組みを見せています。
⇒NHKは一番前のめりで取り組んでいるように見える。番組の作りもリッチな印象がある。以前のNHKはほんとに地味だったw
7:英国スカイは、スマートテレビに対して非常に動きが早い会社として知られています。~中略~ 注目されたのは、衛星放送のIP再送信放送を、オープンなクラウド放送として流したこと。通常、地上波などがIP再送信放送を行う場合には、NTTぷららのひかりテレビのように、有料放送事業者の閉じたサービス(専用のIP網による放送)の中で実施します。しかし英国スカイは「オープンIPTV」を標榜し、インターネット上のクラウド放送として実施したのです。
⇒自分が今年のF1を見れた のはスカイのお陰だ。このように国境関係ないビジネスが多くなっていく気がする。
8:実はイギリスでは、すでにインターネット広告売上がテレビの広告を上回っています。そしてイギリスの若者は、有料・無料問わずテレビ離れが進んでおり、イギリスのテレビ業界は大きな危機感を持っていました。ところが、専用ゲーム機をセットトップボックスにしたことで、英国スカイは若者の一部をテレビに呼び戻すことに成功しました。この取り組みにより、英国スカイは20代の契約者数が増加するなど、大きな成果を上げたと言われています。
⇒脅威と戦うのではなく、お友達になってしまおう作戦だ。日本はこのお友達作戦が非常に下手な感じがする。
9:実はマイクロソフト、ソニー、任天堂という大手ゲーム機メーカー3社は、スマートテレビを巡って激しい競争を繰り広げています。
例えばソニーのプレイステーション3にも「ホーム」とよばれるアバター姿での社交が可能な仮想社会サービスがあり、新作映画の予告編などを仲間と共同視聴することができます。またプレイステーション3を活用すれば、ネットフリックスや英国BBCの見逃し放送アイプレーヤーの視聴も可能。さらには、グーグルテレビ用のアンドロイドOSが導入されるという推測もあります。
任天堂Wii(ウィー)も、現時点ではインターネットを介したアバターの交流という点は若干弱いものの、「Wiiの間」とよばれるサービスを活用すれば、家族や仲間のアバターを自身のゲーム機に配置して、擬似的な社交を楽しみながら映画やアニメをレンタル視聴することができます。
⇒アバタービジネスはセカンドライフがコケたが、確実に再度来る・・・というか、映画:サマーウォーズの様に肉体がメインなのか、アバターがメインなのか分からない未来は確実に来ると思う。
クローン人間を作る技術もあるんだから、当然肉体のON OFFも可能になるハズ。そぉいう意味では “アカウント” を多数持っている・簡単に取得しやすいサービスが強い。
・・・という事は、FACEBOOKだ。スマートテレビの範囲でのアバター競争は全く意味なく終わる話だろうな。ゲーム会社連合でFACEBOOKに対抗するなりしない限り、戦いにすらならないだろう。
10:いまテレビメーカーが考えているのは、テレビ自体は原価ギリギリの安価で販売し、テレビから派生する様々なマイクロ取引で収益を上げていくという手法です。マイクロ取引の内容は、映像や音楽、書籍などのコンテンツ販売、アップスの販売、さらにテレビコマースの手数料などが該当します。
⇒携帯キャリアのビジネスモデルに近いかも。しかし各社の “囲い込み” 競争がサービスの分断化等を招くというVHS・ベータ的ないつものパターンになり失敗しそうな感じがするな。
11:日本国内では、「CREATEC JAPAN2010」において、iphoneやipadをリモコンに使う「レグザAppsコネクト」を発表しています。これは2画面方式でのテレビアップスで、録画したスポーツ中継などの名場面を選んでアップスでタグ付けするというもの。このタグをネット上で仲間と交換して、名場面だけ視聴する仕組みです。一種のソーシャルテレビ視聴ですが、面白いアイデアです。
⇒テレビは入力インターフェースがしょぼいので、この様に手元の別の端末との掛け合わせで楽しむものになっていくのだろう。
12:Huluの視聴者は、視聴する広告を選ぶことができます。例えばコカコーラの広告であれば、「スプライト、ダイエットコーク、普通のコーク」の3本の中から選択するという具合。広告視聴を嫌う嫌な視聴者には、自動車購入など、各種アンケートへ回答すればよいという選択肢も用意されています。その結果Huluは、CPM(1000クリック数)当たり「30ドルから40ドル」という、インターネットでは考えられない高い広告料を獲得していいます。
⇒これは面白い。実際どう選択したりするのか良くわからないが、生活者の能動的なアクションを挟む事で、明確なセグメントとしては1段階的確なターゲティングになっている。当たり前過ぎな話なのだがw
13:ソーシャルネットワークの世界では、「仲間との会話が先、コンテンツの選定が後」が基本だと言われています。(米国では、見逃し放送の視聴はもちろんん、クリスマスギフトのショッピング、大統領選挙や中間選挙の投票など、全てにおいて同じ傾向が見られます)。
実際、2010年度春の選抜野球を毎日放送とTVバンクがユーストリームで生放送した際は、回が進むにつれて視聴者の数がどんどん増えていきました。これも、ツイッターの書き込みが仲間を番組に誘い込んだ結果なのは明らかです。
⇒そもそも人が一番求めるコンテンツは “FACE TO FACEのおしゃべり” であると思うので、先とか後とかではないとも思う。
14:例えば、家族3人でNHKの紅白歌合戦を見ているとしましょう。これまでは、単にテレビ画面から流れる映像を、一方的に眺めているだけでした。
しかし、20XX年の風景は違います。ひょっとしたらお父さんは、スマートフォンでツイッターを開き、赤組と白組の素直な評価を見ながら番組を楽しんでいるかもしれません。お母さんは、NHKが準備した番組連動アップスで、視聴者投票アップスやクイズアップスを楽しんでいます。また娘は、ipadでお気に入りのアイドルを特集した電子雑誌アップスを開き、記者が舞台裏からリアルタイム更新する楽屋情報を眺めています。時折娘が「こんなこと書いてあるけど本当かな」などと父親に話しかけ、父親は「ツイッターに情報が載ってるよ」と言って、即座にテレビにツイート画面を転送してくれる・・・。もちろんこれは、スマートテレビの様々な議論から飛車が勝手に想像した風景ですが、遠からず実現しても全く不思議はありません。またスマートテレビ時代には、こうして視聴者がテレビアップスを用い、番組を独自に味付けして楽しむという視聴スタイルが一般的になるでしょう。
そのような時代になれば、番組の作り手も、従来のように映像コンテンツの制作だけに注力しているわけにはいきません。映像や番組連動型アップスを効果的に連携させ、視聴者コミュニティを巻き込んでいく工夫が求められることになるでしょう。逆に言えばうまく視聴者コミュニティーを巻き込めれば、視聴者同士が相互にコミュニケーションし、勝手に楽しみの輪を広げてくれるはずです。
⇒既にこれに近い環境になりつつあると思う。それを、twitter等のWEBサービスを併用しながら楽しむ今の様な状況から、放送会社側が最初から用意するようになっていくという事だと思う。
日本のテレビ環境と、その上でテレビ持っていない自分としては、海外の状況は、かなりWEB的な印象を持った。
そして、WEBにおいては物理的な距離やニコニコ動画のように時間軸も崩壊したコミュニケーション手法が生まれている現実を踏まえて、”映像コンテンツ” の主役を維持したいという事なんだろう。
面白いなと思うのが、”見てるだけで面白いもの” の追求ではなく、”人とつながるきっかけ・しくみ” の意識が導入されつつある点。テレビ番組の企画そのものはリスペクトしているので、どんどんWEBのインフラを活用して、楽しい体験を作って欲しい。そしたらテレビ買うかもしれないw
日本においては、NOTTV が始まった。マス媒体崩壊の手助けをするに終わる可能性も多々あると思うがw
- ・ユーザー課金制
・上り回線
・リビングのモニタでもなくPCでもない受信端末
という点からどのように生活者に受け入れられるのか?ちょっと注目。
この読書の目的である “マスメディアマージンで成り立ってきた代理店ビジネスの今後” については、あまり見えてこなかったが、いずれにしても “人とつながるきっかけ・しくみ” のプランニングが重要なのはテレビ側の変化からしても明白である事は実感した。
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