ソーシャルネイティブの時代 ネットが生み出した新しい日本人 (アスキー新書)
物心ついた時には携帯を持ち、SNSでのコミュニケーションが前提で育った(育ってきている)世代の人間とは、価値観構成において1つ川が流れていると思い、この本を手に取った。
特に若い世代をターゲットにしたプランニングでは、資本主義的な上流への憧れ醸成が非常に響きにくいのだが、プランニング時に会社のおっさんらに対して「それは前世紀の発想です」と明確に言える材料探しである。
01:日本人の週末平均デート率は8%
02:独身女子の8割は「恋愛はあってもなくても良い」
03:独身女性757人中、「彼氏がいない」が69.3%。このうち「3年以上」が、34.7%、これまで付き合ったことがない」が15.2%で、ほぼ半数が3年以上デートをしていない。
04:「行ったことがあり、また行きたいイベント」として「コミックマーケット」とあげた人は、男性20代では9%、同女性は10%もいる。
05:集まること自体が革命的だったと、当時は思えたのだ。「なぜこんなにも子供たちが集まるのだ」と大人たちをいぶからせるだけで、コミケには存在意義があった。~中略~会場全体が一瞬無音になる「天使が通る」といった現象などを体験したりすることが興奮させたのだ。
06:子供と大人のコンテンツ文化の切れ目を埋める運動がオタク文化だったのだということもできる。
07:視聴しているTV番組として『けいおん!!』をあげた割合は、男性20代前半が27%と突出して多い。
08:「ボーカロイド」の利用が、同じく男性20代では2%もある。
09:電通総研が2010年3月に行った「腐女子調査」(全国15~29歳未婚女性)によれば、自分のことを「腐女子」だと自覚している若い女性は42%だという。
10:本や雑誌記事の興味テーマとして「ボーイズラブ」をあげた人の性別・年代を集計してみると、20代女性が38%、30代女性が24%、40代女性が14%という数字になっている。
11:腐女子御用達といわれているのが『少年ジャンプ』である。~中略~興味テーマが「ボーイズラブ」と答えた人の37%が読んでいるのだ。
12:いまの若者たちは、お金を持っていないということ以上に、お金が循環するものであることをイメージできていないかもしれない。
13:いまや谷中、根津、千駄木などの東京の古い町並みの和のテイストが、若い人たちに受け入れられている。これから十数年のうちに東京の重心が東側に移っていき、「東東京」がトレンドを生み出すようになる可能性もある。
14:失われた20年の間に本当に失われたのは、人々の人生設計のパターンではないかとも思える。それが壊れたままなのに、誰もその先を若人たちに示していないのがいまなのだ。
15:彼らの興味対象がお金のかかるものからかからないものに転換されたのを大人が気づいていないだけなのかもしれない。消費者物価指数の調査品目の内容を改めないと、その暮らしぶりがわからないような人種が登場しているといってもよい。
16:たぶんグーグルが無料であるのは、~中略~ネットが無料という基本思想によって動いている以上、その思想を自分たちも貫くことが結果的にはうまくいくということを信じているからなのだ。
17:「ネット動画」の視聴時間は、男性20代が1日に平均17.1分と突出している。これは、まったく動画を見ない人も含めた平均で、ネット動画を見る男性20代だけに絞ると、彼らは1日に平均61.5分も動画を視聴している。その場合、1日に3時間以上ネット動画を見る人が24.7%、1日に2時間以上見るという人が半数近くにもなる。
18:ソーシャルを日本語に訳すと「社交」ということになる。
19:「好きなコンテンツやキャラクター」で、男性20代では「初音ミク」と答え人が、8.1%おり、これは「らき☆すた」の9%にはおよばなかったものの、タレントの中川翔子さんと同点となっている。
20:日本のSNSは実名性がないといわれるが、お互いの面識はあるということだ。実名性が、フェイスブックの日本での普及のネックという意見があるが、これを見ると以外にも容易にクリアできる課題かもしれない。
21:人が集まるところに置けばお金は入ってくるが、アバターのために人が集まってくるわけではない。
22:情報の取捨選択や、編集自体を、ネットワークがになうようになる。リアルタイムで進行しながら活用される「集合知」のことを、ソーシャルメディアだといってもよい。
23:ネットは無限の記憶力を有している。「はじめて喋ったつもりのギャグは30年前に誰かが言っていた」なんてことが起こるだろう。独創性よりも、ネットワークを構成する「ノード」(接点)として貢献することに生き甲斐を感じるようになる。人は、ソーシャルメディアの中では、情報を入力して情報を出力する「素子」(電子デバイス)のような存在になっていくのではないか?
調査によって結果はまちまちなのでこの本に掲載されている調査が現実であると鵜呑みには出来ないのだが、想像よりも若者がオタクであるという事実を数値で理解出来た。
一瞬鋭い指摘のようにも感じるが
12:いまの若者たちは、お金を持っていないということ以上に、お金が循環するものであることをイメージできていないかもしれない。
これはむしろ逆の影響がある若者も多いし
14:失われた20年の間に本当に失われたのは、人々の人生設計のパターンではないかとも思える。それが壊れたままなのに、誰もその先を若人たちに示していないのがいまなのだ。
事実ではあるが、若者を理解出来ない世代の自惚れ・誤解・自虐が含まれる感じがする。彼らは彼らで今の時代の生き方をしっかりとしているハズで、問題とも感じていない人達も多い。
資本主義を延命するのであれば、”その先” を騙して教えていく必要はあるかもな。まぁ頑張って騙してたのだが、騙せなかったというのが現実か?
とは言え、「こいつ大丈夫か?」と思う若者が多いのも事実だが、おっさんに対しても感じるので、アホの割合はどの世代も一定以上はいるという事なだけかもしれないな。
いずれにしてもその “壊れた” 事による隙間に様々なチャンスがあると思う。
15:彼らの興味対象がお金のかかるものからかからないものに転換されたのを大人が気づいていないだけなのかもしれない。
これは金額が高い商品に限った話でもない。200円の定番菓子も売れないのだ。こなだまでは車など “あるにこしたことはないが、無くても全く不便でもない” まで買っていた時代で、メディア情報の脅迫感の押し付けで購買が生まれていただけだと思う。
更に非常に細分化されたコンテンツをネットによって体験・情報収集がしやすくなったので、メディアで最大公約数を作っても、あまり巻き込まれる必要もなくなった。
いずれにしても、大人が気づいていないというのは、半分間違いで中途半端な小金持ちのアホな大人が気づいていないだけだと思う。
23:ネットは無限の記憶力を有している。「はじめて喋ったつもりのギャグは30年前に誰かが言っていた」なんてことが起こるだろう。独創性よりも、ネットワークを構成する「ノード」(接点)として貢献することに生き甲斐を感じるようになる。人は、ソーシャルメディアの中では、情報を入力して情報を出力する「素子」(電子デバイス)のような存在になっていくのではないか?
前半はライフログ発想としては正しいが、後半のノードやら素子というのは言葉を変えただけで、WEB普及以前から存在する団地のおばちゃんの井戸端会議も同じだ。
そもそもソーシャルメディアというネーミングがマーケティングやる側の言葉であって、必要以上に区別されているように感じる。生活者にとっては手法がちょっと変わって “ログ化されてしまう” という点以外は、大きくは変わらないのだ。
更に最近では、「キュレーター」という単語も出てきているが、最初聞いた時「広告界遅すぎ・・・w」と感じた。 自分ですら12年ほど前から現代アートの世界でよく聞く単語だったし、知人でキュレーターで食ってる人も何人か居た。
- 「種まきはサブカルの現場。収穫・販売は広告屋」
と最近よく言うのだが、広告界はアート界より10年以上遅れているという事実の1つだろう。※なんの問題もないのだが、広告屋が最先端気取ってるのはキモいという裏づけだ。
今の現実を深く知るには良い本だが、先の提示は無い本であった。(最初の目的としては問題無いのだが)
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