リクナビでドワンゴが自分をオファーリストに入れてくれたので、夏野さんを知っておこうと思いw この本を手に取った。偉い人がこの旬なテーマについてどう考えているのか?興味もあった。
01:(スティーブジョブズについて)彼の強みはやはり自分の哲学を持ち、その実現のために、ビジネスモデルとテクノロジーをすべて「手段」として使っていることだ。
02:自分の得意なやり方を熟知してきちんと結果を出せばよい。ただ言えるのは、社員のご機嫌をとって結果が出せないのは、経営者として失格であるということだけだ。
03:「社内の事業部ごとに採算が求められるため、両方儲からなければならない」といった事情が語られることが多い。けれどもそんなくだらない事情を優先してしまっては、ユーザーに受け入れられるはずもないのである。
04:(2007年の「モバイルビジネス研究会」について)ケータイ先進国日本の「成長のエンジン」を止めることにつながったのだ。そのことを認識していたメンバーが、はたしてどのくらいいただろうか?
05:端末契約数の純増にこだわっている現状では、「土管屋」という言葉とは裏腹に、まさにその道をまっすぐ進んでいるという大きな矛盾をはらんでいる。本来ネットサービス事業者は、サービス利用者が増え、サービスが活発に利用されることを目指すべきだからである。~中略~ただ現状、その覚悟のないキャリアは、アンドロイド搭載のスマートフォンを時代に合わない「純増」のための材料としてしか活用できていない。グーグルのサービスに顧客をどんどん逃がしていることにははたして気がついているのだろうか?利益を維持するためにサービス開発という投資リスクはとりたくない、しかし顧客もなくしたくないというないものねだりを続けるのでは、土管屋になるしか道はない。
06:実は、スマートフォンシフトという世間のイメージとは裏腹に、いわゆる「ガラケー」向けコンテンツ市場は現在も成長を続けており、従来型携帯電話が今後減少する環境下においても成長は衰えないと予想されているのだ。
07:わたしは、現状ではこれらのスマートフォンにおけるアプリマーケットは「産業化」が難しいと考えている。多くのアプリを個人プログラマーが製作しており、もちろん優れたアプリも多いのだが、多数のプレイヤーがきちんと継続的に利益を上げ、商品を生み出し続けられるプラットフォームとはお世辞にも呼べないのが現状だ。
08:付加価値=高機能・高品質というイメージはいったん忘れていただきたい。実際、多くのメーカーが判断を誤り、またそれを取り上げるメディアも取り上げ方を間違え、そして「ものづくり大国」などといったスローガンで政府もミスリードしてきたことだが、単に壊れにくいとか、性能が優れている、ということだけでは世界と勝負するに十分とは言えない。(「ものづくり」から「しかけづくり」へ)
09:誤解を恐れずに言えば、マーケティング調査というものは、聞き方と仮説に対する信念があればいくらでも「作り出せる」ものだ。逆に経営層に自信がないと漫然と現状を追認するだけの作業になってしまい、やはりイノベーションを生み出すことは期待できないのだ。
10:目に入る問題の多さ・根深さが悲観につながってしまっては、せっかく残されたチャンスを活かすことができなくなってしまう。問題と同時に可能性にも目を向けなければならない。;そして、その可能性を現実のものに変えるべく、一人一人がかわらなければならない。
11:「ヒト・モノ・カネ」は最適なマッチングを行うことで、それぞれのポテンシャルが発揮される。当然マッチングの際にはコンフリクト(衝突、対立)が生まれ、侃々諤々、激しい議論が本来起こるはずなのにだ。リーダーがそれを導き出してこそ、ヒト・モノ・カネの再配置が行われ、ひいてはイノベーションが生まれていくものだ。これを予定調和でやってしまっては、新しいビジネスの芽も発見できないし、当事者たちも決して本気になることはないだろう。
12:ポテンシャルを引き出すには、リスクをとらなければならない。リスクをとろうとすれば、必ず個性と個性がぶつかり合い、議論が生まれるはずなのだ。
13:一方国民や社員も優しい。「あの人はいい人だからなあ」とか「面倒見がいい」など、リーダーとしての評価を友人としての評価と同列においている場合すらある。リーダーの中の甘え、これが日本が持っているポテンシャルを現在活かせていない最大の理由だ。
14:スマートフォンの登場がそれをよく表しているように、ユーザーがいまは気がついていない利便性や快適さを訴えて、眠っている需要を呼び覚まし、マーケットを作り出すことが大切なのだ。
- 03。ウチに当てはまる。ある時にスタッフセクションで仕入れから10%乗せた金額で営業から発注してもらわなくてはならないルールが出来たのだが、営業も10%マージンを下回る事が出来ないルールがある。よって20%は自然とマージンが生まれるという、無理クリなルールになった。WEB施策は金額が小さいので、20%でトントン。30%ないとビジネスとして意味がないと感じているので一瞬ポジティブにも思えるのだが、”メディア以外は今までおまけでやってきた慣習”によって、20%マージンでは得意先が支払わないという、どうしようもない現実が待っていたw
この辺はしっかりと “受け入れてもらえる理由づくり” が必要だが、負の遺産が大き過ぎて自分も上手く対処出来ていない・・・。ま、代理店が潰れるのは自分個人としては好都合なので、あまり真剣に考えていないが、まだメディアマージン発想(タッチポイント発想)の人たちが多いのは不思議だ・・・。
- 04。当時超危機感を感じていた日記を書いた。自分ですら今を予測出来たのに、総務省は本気でアホだったと言える。
- 05。全キャリアが土管屋に向かっているなと感じさせられた。元々が土管屋ではあるので、あるべき姿になりつつあると言えると思う。
- 07。”エコシステム” という言葉でくくっていた。自分もよく「エコシステムの構築が必要だ」というような事を言っているのだが、あまりよく伝わらない・・・w 夏野氏は “生態系” という言い方もしていたので、今度使ってみようと思う。
- 08。ウチに”ものづくり研究所”というセクションが出来た。そのメンバーからは「絶対名詞を人に渡せない!今の名詞を追加発注しといたわ」という恥ずかしい名前であるw 自分は「ダサいけど分かりやすくていいんじゃないか?」と感じていたし、具体的に何をやるか明確じゃない(一応新しいビジネスモデルのチャレンジプロジェクトという位置づけだと思うが)ので、自分が会社で遊ぶには最高の部署と考え、所長とも意気投合している最中であった。
しかし、何かしっくりこないな・・・と思っていたのは、”ものづくり” では代理店の視点だと納品物作ればOKという解釈も出来てしまう。メディアマージンビジネスではない、生態系の構築をする部署と考えると、”しかけづくり研究所” の方がハマるな。今度所長とこの命名をした役員に話してみよう。
- 10。”残されたチャンス”という貧乏臭い言い方が好きではないが、既存の枠組が崩壊する事によって生まれる隙間に、様々なビジネスチャンスがいっぱいあると感じている。みんな崩壊→修復に気を取られている最中に、次のメインフレームになるプレイヤーが生まれやすい環境である。誰にとっても楽しい時代なハズだと思うのだが、何故かみんな悲観的だ・・・。
- 14。おそらく昔から言われているビジネスのセオリーであろう。・・・しかしウチは電通の後追いが正しい仕事だと思っているおっさんらが多いのでなかなか出来ない・・・。
最初に「iphone(アップル)とアンドロイド(グーグル)は対立していない」と、タイトルと全然違う事を言われており、逆に興味を持ったのだが、切り口がたまたまスマートフォン戦争であるだけで、夏野氏の経済観が分かりやすく理解出来る内容であった。
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