-読書感想- 新「伸びる人」の条件 / 安達元一

2011-10-25 0-45-26

新「伸びる人」の条件 / 安達元一

6月頃の読書。

ちょっと前に、ウチが負けた案件のクライアントに、他店の企画書を見せてもらう。そして勝った代理店の企画書を見て「うわ・・・しょぼ・・・」と感じた事があった。結果決定前の途中報告では、最終的には勝った代理店が順位は低かったのもある。

故に何故負けたんだ?という事だが、明らかに政治的出来レースであった模様であった。

いずれにしても、5年前は企画書とか書いた事もなかった訳で、成長して目が肥えたのは事実。しかし伸びた?今後も伸びる?のか、ただ単に慣れたのかが、自分でよく分からなくなってきていたw

そんな最中に手に取ったのがこの本。表紙の売り文句に対しては

「フェイスブック無くたって生き残れるもん!そもそもどこを境界にして生き残るっつぅんだよ!しかも43とか多過ぎるし!!」

とは思うのだがw 中身を見てみると良さ気だったので、買ってみた。


1:アイデアは「生まれたばかりの赤ちゃん」なのですから。それを、その将来性も、秘めている力も吟味せずに「できない理由」でつぶすのは「赤ちゃん殺し」です。殺人と同等の罪だと思っています。

2:目先の与えられた仕事をこなすだけではいけない。全体の仕事の中で自分は何を担っていて、何に貢献出来るのかが見えてないといけないのです。
私が理想と思う答えはこうです。

「日本中を探しましたがマドンナのそっくりさんはいませんでした。しかし、マライア・キャリーのそっくりさんは見つかりました。あの企画だったら代用がききませんでしょうか。代用がきかない場合は、収録に穴が開いてしまいますので、拙いですが新企画も考えてみました、是非見てください。」

これが100点だと思います。

3:周りを見渡してみてください。この「OKライン法」で観察すると、仕事ができる人はみな同じなはずです。その人たちは、

・途中で妥協しません
・考えることを放棄していません
・時間や疲労や睡眠不足に負けていません
・私がやらなきゃ誰がやるんだ、とうい自負に満ちてます。

だから、「伸びる人」を目指すなら、ちょっとだけでいいので、「うん、この辺でOK」と思ったときに、自分に疑問符を投げかけましょう。

4:成功しているときは、わざわざ変えることに躊躇しますが、失敗したときはもう失うものがないわけです。ですから、すべて根底からガラリと変えてみるという、またとないチャンスだったりもするのです。悲しみに暮れていては、すべてを変えるチャンスに立ち上がることもできなくなってしまいます。

5:どうしようか迷ったときは絶対に「ヤバいほう」を選びましょう。なんとなく先がわかる「安全な道」より、何が起こるかわからない「未知の道」のほうが絶対に面白いです。あなたの人間の経験値を上げます。

6:「私のメンターとはいつ出会えるんだ」と首を長くしている人は、まだまだ動きが足りないのです。じっとしていては出会えない、ジタバタと頑張った人にだけ、神様は出会わせてくれるのです。

7:不可避の大トラブル。そんなものは、あなたが解決しようとしなくてもいいです(もちろんできることなら、解決を目指しましょう)。でも「逃げない」、それだけで、ちょっとだけ「伸びる人」になれるのです。

8:人間は案外単純で、「私はこういう人間だ」と自分に言い聞かせると、どんどんとそれに近づいていってしまうものなのです。

・ボクシングのチャンピオンは、チャンピオンになった途端に強くなります

・アイドル歌手は、売れた途端に美しくなります

9:いつも理想とする自分とを比べましょう。それは、理想の自分がするべき態度なのかと。

10:よく「会議でいいアイデアが出せないんだ」などと、悩んでいる人も見かけますが、「会議はアイデアを出す人以上に、アイデアを伸ばす人」が伸びる人になるのです。

11:絶糾して煮詰まりかけた会議に突破口を開けるのは、「ひとつ次元の高い発言」です。それができるように、ちょっとだけ冷静に会議を俯瞰して見ることができれば、あなたは間違いなく場を回せる「伸びる人」ですよ。

12:ま・さ・か、ですけど、板書係がいなくて会議をやっているなんてことはないですよね? 板書係がいない会議は意味ないですよ。ただの茶飲み話会です。話したことが宙にドンドン消えていき、「とても盛り上がったけど結局何も決まらなかった(生み出せなかった)」という会議に、往々にしてなります。気をつけてください。

13:他人のアイデアをパクるけど、決して誰からも非難されない方法があるのです。それは「アイデアのエッセンスを抽出すること」なのです。

14:相反する2つのものを組み合わせる。これは、なかなか効果的な作戦ですよ。人間の脳は、何か違和感のあるものに反応するようにできています。それを逆手にとり、「何それ?」と、思わせれば、もうあなたの勝ちです。相手は、それが何か知りたくて、もうあなたの企画の世界に足を踏み入れたも同然なのですから。

15:
・天才バカボン(なんで天才なのにバカなんだ!?)
・スケバン刑事(なんで刑事なのにスケバンなんだ!?)
・あぶない刑事(なんで刑事なのにあぶないんだ!?)
・奥様は魔女(なんで奥様なのに魔女なんだ!?)
・暴れん坊将軍(なんで将軍なのに暴れん坊なんだ!?)
・Mr.チルドレン(なんでミスターなのにチルドレンなんだ!?)
・ホームレス中学生(なんで中学生なのにホームレスなんだ!?)
・子ども店長(なんで店長なのに子どもなんだ!?)

16:
・昆布に含まれるグルタミン酸の組成について
・ボルドー左岸地区のここ10年の降雨量について
・釈迦如来と文殊菩薩と普賢菩薩の関係について

なんてことを真剣に企画しても、広く国民に受け入れられるとは思えませんよね。だから「8割の国民が8割気になっていること」なのです。では具体的にはどういったことでしょう。ちょっと例を考えてみましょう。

「病気にならない、健康でいたい」は、誰もが明確に気になっていること、「10割の国民が10割気になっていること」です。これをストレートにやったのではヒットしません。
でも、「東欧カスピ海に長寿の秘密があった」なんて切り口ならどうでしょう。「よく知らないけど、なんとなく興味ある!」になるかもしれません。これなら「8割の国民が8割気になっていること」に近いかもしれません。ここで重要なのが、

「驚き」と「発見」と「新鮮さ」と「知的好奇心の満足」がそこにあるのか

ということです。

ちょっと補足しますが「よく知らないけど、めちゃくちゃ興味ある!」では、ダメなのです。これは「8割の国民が10割気になること」になってしまいます。「よく知らないけど、なんとなく興味ある!」これが「8割の国民が8割気になること」なのです。

前者も悪くはないのですが、発見や知的好奇心の満足感が不足するので、大ヒットはしないことが多いようです。

17:・共感できる価値観、世界観、物語がある
・自分もその物語の一員になりたいと思わせるもの

これが大切です。そうすれば、こちらからお願いするまでもなく、多くの人がその企画を応援してくれ、自分も同化したい気持ちから、物語の「観客」ではなく、「出演者」になりたがり、口コミでどんどんと広げてくれるのです。

18:「必要は発明の母」という諺があるように、発明とは、世の中の不便から生まれるもの。不便を解消するために、知恵が凝縮されて絞り出された1滴であるのが「発明品」。

19:あなたの脳はどこまで「他に方法はないのか」を考えられるでしょうか。挑戦してみてください!

20:この仕事は何時間で完成させるのか、先に決めることです。これは、あなたの頼もしいパートナーである「脳」に、最高のパフォーマンスをしてもらうために、とても大切です。

21:「興奮してきたから作業を始める」のではなく「作業が始まったから、興奮してくる」のです。

22:「アイデアをインプットするために関連雑誌を買う」、これは大間違いです。みなさん、もうちょっと自分の脳を信用してもいいと思います。だって、生まれてからずっと、あなたと一緒に成長し、かけがえのない人格を作り上げてきた最も信頼できる盟友ですよ。その脳の持っている力を過小評価しては可哀相です。あなた自身を否定することになってしまいます。

23:日々の仕事だって、趣味だって、恋愛だって、同じです。がっかりタイムを乗り切った者にのみ祝福が訪れるのです。

24:ヒットに関してひとつ確実な法則があります。それは、

当たる理由は2割しかわからない。でも、ハズす理由は8割わかる

25:ある番組で大勢の東京大学の学生さんと仕事をしたときに聞いたのですが、彼らの多くは受験勉強を左手(利き手じゃない手)でしたそうです。「なんで?」と不思議がる私に、当たり前のように教えてくれました。「使ってない脳が動き出すんですよ」と。


14、15番は自分の好みのやり方だ。その上で少なくても社内の人間には17番の状態に持っていくのを目指すのが自分の仕事だと思う。
4、18、23番は “負という肥やしがあるのだから、正は簡単に育つ
に近しい話で共感。
3、5、7、19、20番はちょっと疑問。更に22番のように時間を決めてからやれと言っているのだから、タイムリミットから追い込めないという事になる。すんなりいかないものはとっとと諦めて、スムースにいくものを伸ばしていくという発想もあると思う。

読んだ時期は6月頃で当時は良い印象の本だったが、今回まとめてみると既になんとも思わなかった。多分既に吸収して自分のものになっているからだろう。

で、自分は伸びた?伸びる人?なのか慣れただけなのかは、よく分からない。というか根本はもうこの年齢だしさほど変化はないだろう。自分については諦め切った上で、”ある素材でどう遊ぶか?” であるなという、自分らしい発想が強まっただけの読書だったかもしれないw

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