去年の12月頭頃から読みはじめたのだが、ボリュームが多くて読み終えるまでに時間がかかった・・・(MIX 2009の最終作業もあったし)。これはヤバい本です。車案件の弟分営業に借りたのだが、常にバッグに入れていたのでボロボロになっちゃいました。
ゴードン・ベル というコンピューター界の超大御所さんが著者で、既に実践中のライフログの話や、将来の予言なんかが書かれている。
共同著者として、ジム・ゲメルと記載されているのだが、ジムが行方不明になったからこそ、ログを蓄積して再現する事でジムと再開したいという、熱い思いが彼のモチベーションの様だ。のび太がロボット博士になるような流れ である。いわゆるGOOGLE的な ターゲティングからの発想とは違うモチベーション だな。
付箋張った箇所
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- 今までは記録する判断が必要だったが、今後は記録しない決断が必要になるだろう。
- ホミニッド原人:行動を立体画像で「アリバイ履歴の記録保管庫」に送っている。
- ファイナル・カット:赤子の脳にチップを入れている世界が舞台。
- 安全の確保、成長の記録、という点からライフログの先駆者は子供と想定している。
- ライフログが日常生活に浸透するのは、10年以内なのは確かだ。
- 世界貿易センタービルを燃やし続けたのは大量の紙だった。
- 検索経路があれば、ある文章をほかの文章へと次々に関連づけていき、後であらためてたどりなおすこともできる。
- パターンを抽出したりできるような強力なツールにしなければならない。
- ファイルとデータベースを一体化させたストレージシステムで、独立したアプリケーションではなく、OSやブラウザに組み込まれ、2020年までには当たり前になっている。
- あとでアクセスしやすくするには、記憶を使用するたびに、新たな記憶として再保存する必要がある。古い記憶は消滅するか、アクセス出来なくなる。つまり、何かについての記憶は、それについての最後の記憶にすぎない。犯罪の目撃者が自分で目撃したことではなく、新聞で読んだ内容を証言するのはこのためである。
- ライフログ用ソフトがその人にとっておもしろい瞬間を上手に見つけてくれるようになるだろう。映像と同時に脳からのアルファ波を記録する仕掛けがついた野球帽を使って、東京大学の研究チームがすでにこの実証を開始している。
- 自分がもっとも忘れたい経験に向き合い、他人に知らせ、まとめることが、「不必要な再生に対抗する」もっとも効果的な対処法となるのだ。
- ライフログでは、反復性があれば、それを見つけて、単調な作業の一部を取り除くようにできる。
- 公共の場での人通りを研究すれば、学べるものがあるはずだ。
- インテル、ウォルマート、AT&Tをはじめとした大企業は、社員の保険にかかるコストを大幅に削減するために組合を作り、共同で社員の健康記録を電子化する取り組みをはじめている。
- 慢性疾患を抱える人たちは、センサーを体内に埋め込んで、携帯電話やPDAのような体外の機器に、データをワイヤレス送信することになりそうだ。
- 生身の相手の時間を取ったり、質問をしてばつが悪い思いをしたりするよりは、バーチャルな相手の方が気楽に話せることもあるようだ。
- 今までの健康管理は、限られたばらばらのデータに基づいたものだった。僕にとっては、巻き尺や水準器、直角定規をほとんど使わないまま、おおかたの「目分量」で家を建てようとする人と同じように思えてならない。ライフログのある健康管理は、きちんとした設計で建てられた家に似ている。
- [インフルエンザの症状]といったキーワードをグーグルに入れれば、インフルエンザの流行状況が追跡出来る。この単純な行為が、何百万ものキーボードで繰り返された結果、インフルエンザの初期警戒システムが誕生した。
- デブ・ロイは家中にケーブルを張り巡らせ、ビデオカメラ11台、14個のマイクを設置し、全てのログを地下室のサーバーへ格納。息子の言語の発達を洩れなく記録している。
- 文字を読まないと理解できない視覚型の人間もいれば、耳から学ぶ聴覚型もいる。動作をことごとく記録していけば、自分がしていることの中で、理解を深めるために効果的なものとそうでないものとが見えてくる。
- 学生の学習データを共有すれば、標準教科書の中で貧弱な内容の章はそのうち消えていくだろうし、特定の教科や特定のタイプの学生たちをうまく教えられないような指導法も残りはしない。
- 宿題は各学生の学習記録に応じて、完全にカスタマイズされるのである。
- おそらく学習が、この新たな科学技術の時代で最大の経済的利益をもたらす鍵となるのだろう。
- 取り入れた情報を分類しない限り、自分の集めた資料を真に理解できない、という事が今後しっかり定着していくはずだ。
- そしていつか、それに向かって質問するようになる。そして、電子記憶から答えが返ってくるようになるはずだ。こうして、人は事実上の不死を手に入れる。
- GPSを使えば、旅の全工程をかなり詳細に再現することができる。それは、実際の旅の経験すらしのぐほどになるかもしれない。
- この人物ならこう答えたはずと推測して受け答えするアバター作りは、すでにある程度進んでいる。カーネギーメロン大学の研究チームは、アルバート・アインシュタインにインタビューできるプログラムを作りあげた。
- 家が家事になったとしたら、多くの人がアルバムを持ち出すのではないか。人間は回想好きの動物だ。これまでに撮った写真やホームムービーのことを思い浮かべるのは、「回想の強化」を楽しみたいから、つまり、ただ思い出すのを楽しみたいんじゃなくて、過去からの記録や残された品を見たり聞いたりするのを楽しみたいからじゃないか。
- デリケートな情報なら、「スイス銀行」のデータ版みたいな、海外の匿名口座にでも預けたらどうだろう。ここなら、口座(アカウント)の存在をまことしやかに否定できる。
- しょっちゅう電子記録が自分の不利になることに使われるのではないかという不安がよせられる。答えは技術(たとえばデータ版スイス銀行)、法律(自己に不利な証言をデジタル的にしない権利が認められる、など)、ビジネス(健康が全般的に改善された結果、情報を多く記録している人の補償範囲を継続するようにすると経費が節減できることに健康保険会社が気づく、など)の三つの分野にまたがることになるだろう。僕らは徐々に適応していくのだ。
- メイビーカム:人は記録されているかもしれないと考えて、確実に記録されていることを認識している場合とまったく同じように行動しはじめる。
- 馬に乗った人を轟音とともに追い抜いた最初の自動車のように、ライフログのある生活は現在の僕らにとって異質なものだろう。しかし、自動車と同じく、ライフログを拒絶したら、すばらしい利点をあきらめるという代償を払うことになるだけだ。
- リコールでは、専用電話番号をダイヤルすると、「何がしたいですか?」と尋ねられる。そこで、「追加」と答えて、ピーという発信音のあとに、メモに残したいことを吹き込む。すると、この音声記録のファイルが添付されて僕の電子メールに送られてくる。僕の言ったことは文字データに変換され、電子メールの本文に表示される。運転中は特に便利だ。
- 一連の出来事を視覚化するなら年表形式(タイムライン)が一番だ。この先数年のうちに、マイライフビッツのような研究プロジェクトから、信じられないほど魅力的なタイムラインソフトが市場に送り込まれることになりそうだ。
- 未来の世代に自分の物語を伝えたいと思っているなら、デジタル版の墓や図書館のこともお忘れなく。
- 誰もがみな、自分の物語を語りたいという熱い心を持っている。どんどん語ればいい。完璧である必要などないのだ。
- 通信の山(電子メールやら、チャットやら、手紙やら)から思わず唸ってしまうほどの、これぞと言えるロボットを作る会社がいまだにない。僕の収集データをもとに、チャットが出来て、不死身の僕のデジタル分身を作ってくれるチームがあれば、喜んで力を貸したい。ヘルプデスクのスタッフのチャットボットもつくれるから、大金が転がり込んでくること、請け合いだ。
- 故人の品(写真や書類など)を箱に詰めて送れば、全部すっかりスキャンして、デジタル版の墓に収めてくれるというサービスはどうだろう。葬儀をとり行い、保管を請け負っている会社が既に数社あるが、きわめて革新的な会社が出てきて、これをさらなる高みへと引き上げていく余地は十分にあると思う。
- みんなの記憶という記憶が全体の利益のために掘り起こされている、そんな世界が見えないだろうか。みんなの情報をことごとく公共の利益のために利用しようとする、サイバー共産主義なるものが出現するかもしれない。
- アマゾンなどのウェブサイトが販売履歴を追跡して、客がほしいと思うものを予測するように、サイバー上の集団的な記憶が、君の役に立つとか、君の好みに合いそうな行動や場所、物事をたくさん教えてくれるようになるのかもしれない。
- 記憶(マインド)と魂(ハート)の関係はどうなっていくのだろうか。たとえば、この人を愛しているとか、このものを愛しいと思う、そんな気持ちはどうやってデータ化していくのだろうか。あと何十年もしたら、このような部分にも技術のメスが入り込んでいくのだろうか。
とにかく付箋がいっぱいついて、取り急ぎ取り出してデータ化してみた。この作業が既に古臭く、読書中にリアルタイムに吸い上げてくれる様にハズだ。・・・し 「これでどうかしら?」とブログ記事を既に下書きしてくれている未来があるだろう と思う。
整理
ページ順で取り出しているのだが、いくつかの内容で整理する事が出来ると思う。
人間
- 10. あとでアクセスしやすくするには、記憶を使用するたびに、新たな記憶として再保存する必要がある。古い記憶を消滅するか、アクセス出来なくなる。つまり、何かについての記憶は、それについての最後の記憶にすぎない。犯罪の目撃者が自分で目撃したことではなく、新聞で読んだ内容を証言するのはこのためである。
- 29. 家が家事になったとしたら、多くの人がアルバムを持ち出すのではないか。人間は回想好きの動物だ。これまでに撮った写真やホームムービーのことを思い浮かべるのは、「回想の強化」を楽しみたいから、つまり、ただ思い出すのを楽しみたいんじゃなくて、過去からの記録や残された品を見たり聞いたりするのを楽しみたいからじゃないか。
学習・成長
- 13. ライフログでは、反復性があれば、それを見つけて、単調な作業の一部を取り除くようにできる。
- 20. デブ・ロイは家中にケーブルを張り巡らせ、ビデオカメラ11台、14個のマイクを設置し、全てのログを地下室のサーバーへ格納。息子の言語の発達を洩れなく記録している。
- 21. 文字を読まないと理解できない視覚型の人間もいれば、耳から学ぶ聴覚型もいる。動作をことごとく記録していけば、自分がしていることの中で、理解を深めるために効果的なものとそうでないものとが見えてくる。
連想
- 7. 検索経路があれば、ある文章をほかの文章へと次々に関連づけていき、後であらためてたどりなおすこともできる。
- 11. ライフログ用ソフトがその人にとっておもしろい瞬間を上手に見つけてくれるようになるだろう。映像と同時に脳からのアルファ波を記録する仕掛けがついた野球帽を使って、東京大学の研究チームがすでにこの実証を開始している。
まとめ・未来
- 12. 自分がもっとも忘れたい経験に向き合い、他人に知らせ、まとめることが、「不必要な再生に対抗する」もっとも効果的な対処法となるのだ。
- 26. そしていつか、それに向かって質問するようになる。そして、電子記憶から答えが返ってくるようになるはずだ。こうして、人は事実上の不死を手に入れる。
- 27. GPSを使えば、旅の全工程をかなり詳細に再現することができる。それは、実際の旅の経験すらしのぐほどになるかもしれない。
- 28. この人物ならこう答えたはずと推測して受け答えするアバター作りは、すでにある程度進んでいる。カーネギーメロン大学の研究チームは、アルバート・アインシュタインにインタビューできるプログラムを作りあげた。
- 40. みんなの記憶という記憶が全体の利益のために掘り起こされている、そんな世界が見えないだろうか。みんなの情報をことごとく公共の利益のために利用しようとする、サイバー共産主義なるものが出現するかもしれない。
- 41. アマゾンなどのウェブサイトが販売履歴を追跡して、客がほしいと思うものを予測するように、サイバー上の集団的な記憶が、君の役に立つとか、君の好みに合いそうな行動や場所、物事をたくさん教えてくれるようになるのかもしれない。
死者も同列になるライフログ妄想
自動連想から生まれるFEEDBACKによって、よりリアルなコミュニケーションが豊かになり、検証の精度もあがる。よって学習の質が上がり、進化のスピードも速くなる。そして肉体を失った後でも肉体あるものとコミュニケーションを図る事が可能になり、AIによって学習も可能。
更に!元の肉体がないアバターやロボット的なもの、認知に障害がある人も、健康な人間・死人と同列に並ぶ事が可能だ。
という事だろう。
現実に起きているコト
こんな感じだろう。既にプロモーション全体の考え方として、得意先との握りにおいて活用している。
まとめ
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- 共有の時代の次は自動連想だろう。リターゲティングは自動連想の一歩と言える?
- キーボードとマウス、そしてタッチパネルにはヴェロシティー付になると面白い。
例:強いタイピングだと、荒々しい文字になり、ENTERを強烈に叩くと3段改行される。
- 国はライフログを導入して、無駄を省き、スピードを改善して生産性を上げながらも、人間的な豊かな環境を作るべきでは?サマーウォーズのOZの世界の様なものだ。国は無理にしても、企業単位での導入はこの10年のビジネスチャンスだろう。企業側がFACEBOOK上で情報が流れるのを嫌う為だ。
- 役員面談の際に “監視ではなく共有の視点でマネジメントインフラを整えるべき” と言ったが、やはりログ化で止まってはダメで、共有した上で次へ繫げるインフラが必要だと改めて思った。現在はまだ溜めるだけで共有がしにくいので、次の考察に進みにくい。
- タイムラインが最高のインターフェースだとは思えない。タグクラウド的な内容を重視したインターフェースとの組み合わせが必要だと思う。
- GOOGLE検索のロジックはデヴォンシンクへ繋がる?
- 英語・中国語に変わるまったく新しい世界共通言語が生まれるかも?
- ログを元にして最適化されたコンテンツでないと、生活者にはまったく届かない。(フィルタリング機能も発達するだろう)
- 不死は当人以外にとってのもの。当人が死後のライフログと一体化する為には、肉体あるうちにライフログとの意思疎通の訓練が必要。もしくは最初から肉体を持たない、”アカウント” にARで肉体を付けて成長する人格もあるえるか?その場合は、親は子供の “アカウントを生成・購入する” という行為になる.
広告代理店での仕事としては、やはりタッチポイントの創出だけではなく、共有してコミュニケーションに到達するという、要は ソーシャルストリームに情報を乗せる事を強く意識しなければいけない と思う。そのインフラの共有・コミュニケーション部分は、おそらくfacebookに集約されると思うので、手段が限られてくるのは楽になると言える。
WEB登場以前から変わらないとも言えるが、ポイントは企業が伝えたい事と生活者が共有したい事の相違だろう。そのギャップを埋める事が必要だが、自動連想によって情報は更に的確に得る事になるので、マス手法の力技が受け入れられる受信の穴は減っていく。大きくては入らないし、小さくては落ちていく。その穴にジャストサイズに情報を変化させるスキルが必要だし、人と人とのコミュニケーションにおいてもより意識される んだろう。
普遍的な面白さやクオリティーによる “表現” だけのコミュニケーションでは、穴に入る以前に蒸発して消える情報になるんだろう。既存の代理店のクリエイティブ発想が強い人は生きる屍になるだろうし(既に異臭を放ち始めている)、メディアプランニングは、ただのデモグラ情報からのプランニングではなく、例えばニコ動を選定するのであれば
- ×登録会員は10代~20代のアニメ・ゲーム好きが多い。
○”突っ込める” 事からはじまるコミュニケーションを好むユーザーが多い。
という様な事まで理解したプランニングが必須になるだろう。これは媒体側が作る媒体資料にも変化が必要だな。(媒体社さんよろしくお願いしますw)
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