-読書感想- 本当にわかる心理学 / 植木理恵

2011-04-23 14-23-09

本当にわかる心理学 / 植木理恵

本当にわかる心理学 / 植木理恵

読書は基本 「僕は○○さんの本を読んでパクったまでですよ?僕を否定するというのは有名人である○○さんを否定する事になりますよ」 と言えるようにするのが趣旨なのだが、学者の意見等もあれば更に都合が良い。そこで心理学による証拠があれば尚良しなので、この本を手にとった。

1:いくら物知りになったとしても、その知識を頭の中にバラバラに放り込んでいたら、いざというときにその知識をどこにしまったか思い出すことができない。~中略~ 勉強するとき、頭の中を階層的に整理整頓しながら覚えることが大切だ。

2:(電車で老婆に席を譲る事について)それは、そういう「いかにもいいこと」をした自分が、ものすごく気持ちいいからである。私ってカッコいいな、という自惚れと爽快感。心が軽くなり、かえって疲れがとれることも多いのだ。

3:心理学では基本的に「集団でいることは、『手抜き』が起きる元凶」と考えられている。

4:(触ってはいけないおもちゃを子供達に教えた後に、「どれでも好きなものをあげるよ」と言うと全員間違いなく禁じられたおもちゃを欲しがる事について)

「ダメ」といわれるほど興味が湧く。しかも、それが魅力的に見えて仕方ない。

~中略~

「禁止」といわれることは、興味や関心を掻き立てられるだけでなく、禁止されたそのものを魅力的に見せ、価値までを高めてしまうということがわかる。

~中略~

「自分のことは自分で律したい」という生得的本能を、遺伝子レベルで持っているといわれている。自分に関することは、自分で決めたい。好き・嫌い・接近・回避などは、自分自身で判断したい。

~中略~

他人から「これはダメ!」と禁止されるということは、その人間らしさを激しく脅かされる緊急事態となる。そんな状況下では、「なんとか失われた自己効力感を回復したい、自分で選択したい!」という、衝動に近い欲求が湧き起こるのは、しごく当然のことかもしれない。

5:(フォールス・メモリについて)記憶は思い出すときにかなり歪み、本人さえもそれに騙される。

6:相手を心から信じて期待すると、相手が願い通りになってくれるような働きかけを、「期待した側」が積極的にとるようになる。以心伝心ではない。「期待した側」の実質的なグッドアクションに起因しているのだ。

7:理論上、物事の真実を見極めるためには、いつも確証を深めるばかりで、反証のほうも確かめなくてはならないのに、われわれはいつも確証を深めるばかりで、反証のほうもすっかり忘れてしまう

8:アッシュの印象形成実験について

・リスト1
彼は、「知的な・勤勉な・強力な・批判的な・頑固な・嫉妬深い」人である
・リスト2
彼は、「嫉妬深く・頑固で・批判的な・強力な・勤勉な・知的な」人である

順番が逆転すると、「他の欠点のために、能力が発揮できない人」という悪印象を持つ人が多かったのだ。

9:初対面で人間的な温かさ、人なつっこさを感じさせれば、ほぼ未来永劫に高評価が続くのだ。~中略~ しかもこういう人は、たとえ失敗をしたとしても許されやすいことがわかっている。「そこが人間らしく、愛嬌があっていい」などと、いつの間にかフォローされるのだ。

10:人は、短く強いストレス以上に、弱くとも長く続くストレス=この場合は「社会的放置(ネグレクト)」に対してとても過敏にできている。非社会的・非道徳的なことがいつまでも片付けられずに放置されているのを目の当たりにし続けることは、誰もを苛立たせしだいに狂気にかりたてる。

11:人は自分の気持ちを他人にわかってもらえると、お返しに、相手のこともきちんと知りたくなる習性がある。そして、相手の悲しみや苦しみも、一緒に背負いたくなる面がある。心理学では、これを「好意の返報性」と呼んでいる。

12:「アメとムチ」でワンセットのように考えられていたのだが、ムチはときとして逆効果になることが指摘されはじめた。ムチを恐れてトライすること自体を断念し、リスクをおかしてまでアメを取りにいこうとする意欲など、すっかり吹き飛んでしまうのだ。

人間も同じで、相手の意欲をコントロールしようとするとき、ムチは意外に役立たない。叱られるのが嫌でフリーズしてしまい、先のネズミと同じように、試行錯誤そのものが億劫になってしまうからだ。

13:相手をコントロールするには、基本的には「連続強化」が有効である。頑張れば報われるという「随伴性の認知」は、人間同士の信頼関係になくてはならないものだろう。

14:ある宗教では、最初の頃は教祖にお布施をすれば必ず称えられ、有難いお経を読んでもらえる。つまり、連続強化の状態である。しかし、それが習慣化した頃、お布施をしても教祖から無視されたり、苦言や厳しい説教をくらったりするようになる。つまり、連続強化から間欠強化にいきなり切り替わるという、巧妙なプログラムに巻き込まれる。

15:・何色ものポロシャツを、一面にずらっとディスプレイ ・何色もの口紅を、横一列にぎっしりディスプレイ

人は、グラデーションが壮観に並べられているのを眺めていると、どれか一つ自分に似合いそうと感じ、「自分だったらこれかな?」と、いつの間にか強制選択してしまう。そして一度選択してしまうと、今度はそれを手にいれたくなる。自分で選んだ、自分で決めた、という幻想がわくからだ。

16:量的には同じだけの電気ショックを受けながらも、鼻でパネル状のスイッチを押すことにより、「自力で」電気ショックを止めるよう条件設定されたイヌは、まったく無力感には陥らないのだ。

つまり電気ショックのような「嫌悪的なトラウマ」が無力感をもたらすのではなく、それを自分の頑張りではどうすることもできない、と感じてしまった時に、無気力になっていくのだ。

17:やりがいを感じて仕事しているときに、にわかに物理的報酬を与えられると、今後はもう、報酬なしで仕事をするのが馬鹿馬鹿しくなってしまうのだ。

したがって、内発的に行動している人に対して、「偉いぞ」と上から評価したり、「頑張ればトップになれるぞ」と激励したりするのは危険なことである。心のどこかで「余計なお世話だ」という心理的リアクタンス(反発心)が起き、貴重な内発的モチベーションに水をさすことになる可能性があるのだ。

18:一度報酬を与えてしまうと、人は何のために行動しているのかが見えにくくなる。本来ならば、意欲に満ちあふれた赤ん坊のうちから、アメで容易につろうとするのではなく、その物事の本質を楽しめるように見守るのが理想なのだろう。大人になってからも、仕事自体に使命感や楽しさを感じているときには、その「途中」で報酬を与えてはならない。しかし、現実的には報酬(アメ)なしでは生きていけない。そこが難しいところだ。

19:もし相手が外発的モチベーションで行動を起こしている場合には、「そのときに」「その場で」褒める、もしくは注意するのが鉄則である。

20:ゴッドンらは、被験者を、「水中で単語を覚えるグループ」と、「陸上で単語を覚えるグループ」に分け、記憶の定着について比べている。その結果、大切なのはどこで勉強するかということではなく、「覚える『場所』と、それを思い出す『場所』が一致しているか」ということであったという。

21:情報と情報をこじつけて、意味をもたせることを、記憶の「精緻化」と呼ぶ。丸暗記では覚えられないことを、自分なりに精緻化して頭に入れることによって、記憶力は格段に上がる。

22:「記憶力がよい生徒=理解しようとする生徒」であることが明らかにされている。よく理解できないのに丸暗記しようとするのは、間違った努力だ。そんな根性は早めに捨てて、「いかに意味を理解するか」という方向に意欲を燃やすほうが効率的である。

23:理解することは、自分のすでに知っていることと、新しい情報を結びつけること。

24:人は集まると、それだけで「とりあえず合意しよう」とする雰囲気になる。すると、たとえそれが偏見であるとわかっているつもりでも、誰もが納得するような判断に、無意識のうちに全員が偏りがちになるのだ。

25:人は何かを食べている時は、簡単に説得されやすく、しかも騙されやすい状態になる。

26:繰り返し思い出すことは、偽りの記憶を導きやすくする結果になっている。~中略~ 自分の記憶の中にある情報をウロウロ探索するだけで、何度も思い出そうと躍起になると、偽りの記憶がつくられてしまう確立が格段に高まってしまう。

27:「自分自身はそのときどう感じたのか」という自分サイドに関する記憶も時間が経つとおぼろげになってしまう。~中略~ 直感的な記憶は、一ヶ月後にはまったく違うものに変わっていたり、忘れてしまっていたりすることが観察されている。

28:一般に人間は、権限を強く与えられると、自分の持つ信念や意見を過信するようになる。

29:半数の被験者には、「彼は○○大学の博士課程を終了して・・・」といった紹介をしておき、残りの半数にはそのような情報は与えない。両軍とも、見せられるのは同じVTRである。若い男性が、誰かと談笑しているのだが、彼はほとんど喋らずに相手の話に微笑むだけ、という退屈なシーンが続く。

視聴後、高学歴と告げられたほうの群の六十%もの人が、彼を性格を「シャイ、恥ずかしがり屋」と推測し、しだいに「思慮深くて冷静そう」というポジティブな判断へと向かう人が多かった。一方、学歴についてなにも聞かされていない人たちは、「何も喋らなくてつまらない」「態度が大きい」という七十五%もの人がネガティブな感想を述べ、「にやけていて、ふてぶてしい性格」という印象にシフトしていった。

両軍とも同じ男性を見ているはずなのに、正反対の評価になることがわかる。

30:「関心はきちんと持つが、自分のプライベートにまで響くわけではない」という、微妙なバランスが維持されているときが、相手を見抜くときに最も厳正に、客観視できる状態ということになる。

31:親密性もアイデンティティも十分に発達していない状態の若者が、自分自身のアイデンティティを、他者からの評価によって定義づけようと試みる現象が増えている。「自分探し」を自らの試行錯誤で行うのではなく、恋人からの賞賛や評価を映し鏡にして、簡単に自分のことを(しかもポジティブな自分のことだけを)知ろうとする真理である。

言い換えると、自分自身に十分な自信がないために、その自信を補強するために恋愛相手を利用してしまう、という人間関係のあり方である。

32:青年期に限らず三0代、四0代になっても、実はアイデンティティ達成に至っていない人は多い。自分のアイデンティティ地位を知り、「私の進むべき道はどこか」という葛藤を経験して、自信の心を定めることが、他者を献身的に「愛する」ようになるために必要条件だといえるだろう。

33:「一日あたりの目標が六ページ」と、適度に挑戦的であり、かつ目標をクリアしたという達成感をその日のうちに味わうことができる「近い目標群」の子どもたちは、学力も自己効力も大きく向上している。しかし「七日で四十ニページ」という「遠い目標群」の効果は、目標を何も設定しなかった群と、効果はほとんど変わらなかったのだ。

34:チンパンジーの社会において、ある個体が狩りで収穫した餌を他の仲間にも分与する行為が観察される。しかし、それは単なるやさしさや愛他的行動ではないと彼はいう。餌を与えるのは、群れの中で生ずるかもしれない未来の争いに備えて「連合」を組むのにふさわしい相手だからであったり、自分より格下で「臣従」を確認させるべき相手だから、というように、きわめて利己的な動機が背後にある場合に限られることが推察されている。まさに、このような計算を含んだやさしさが、社会的知能である。

35:よく誤解されていることだが、「外向的」と「外交的」とはまったく異なるものである。外向とは、みんなと積極的に社交的にワイワイできること、という意味ではない。本来は、「物事を決める判断基準を、自分の外側に持っている」というのが「外向」の定義である。

36:世の中には曖昧な結論のまま終わってしまうことも多く、そのたびにいちいち怒ったり傷ついたりしていては心が悲鳴を上げてしまうだろう。社会的適応やメンタルタフネスを考えたとき、いま本当に必要なのは、優柔不断さやグレーゾーンを許せる柔らかい感性である。このような能力を、近年は「ソフト・インテリジェンス」と呼ぶこともある。

37:癒しの効果について研究している山田冨美雄は、次のようなストレス・コーピングが患者に有効であったと報告している。

1 ストレス源から、自分にとって肯定的な意味や価値を見出そうとする
2 否定的な感情を笑いに変える。積極的に辛い感情を表出しして、ユーモラスに語る
3 自己主張(アサーション)の練習をする。自己主張はよいことだと信じる

38:長期貯蔵庫の容量はきわめて大きく、ここの入った情報は恒久的に保存されると考えられている。必要に応じて検索され、数年経ってもその部屋番号はすぐに短期貯蔵庫に呼び戻される。これが「想起」という現象に対応するモデルである。

39:藤田哲也は、宣言的記憶を増やしていくには、たとえば本で、「初代総理大臣は伊藤博文」といった暗記記憶をすることも悪くはないが、昔の千円札を見てみたり、今の総理大臣との違いを誰かと話してみたりと、新規な体験をする中で、「意味記憶を、個人的なエピソード記憶として獲得する工夫」をすることが、それを永久的に記憶に留めるためには有効であると述べている。

もの凄いボリュームになった・・・。

まず、それぞれ被ってはいるが、要素で分類すると以下のようになる。

ライフログ
1、5、7、20、21、26、27、29、32、38、39
モチベーション
2、4、11、14、15、18、22、25、28、31、33
会社のネガマネージメント
3、6、10、12、13、17、19、23、24、34、35

面白い事に、それぞれ11個。同じボリュームだ。

ちなみにこの分類でのモチベーションは仕事をする上という意味よりは、コンテンツに接した生活者がソーシャルメディア等でいわゆる “口コミ” をしたくなるモチベーションとして捉えている。

会社のネガマネージメントに整理した項目は、ウチの日常についての指摘と 先日の自分に起きた事 そのままと言える事が多いな。ま、今の自分は当然の結果だな。ぶっちゃけ想定してたが、いざ結果が出ると疲れるもんだわw

今回は量が多いので、総括が難しいのだが

“子供の学習や大人の仕事において、強制ではなく能動的に行動させるには、マネージメントを進化させるライフログシステムは有効的”

と言えるだろう。

まだ深く自分に内包された情報になっていないが、良い種(点)を得た自覚は強くある。今後、線になって繋がっていくのが楽しみだ。

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