-読書感想- ウェブ進化 最終形 / 小林雅一

2011-10-25 0-48-58

ウェブ進化 最終形 / 小林雅一

2011年夏頃の読書。

“HTML5がFLASHを駆逐する!?” 的なムードが高まっていて、えらいおっさんからも「ちょっと調べておいて!」と言われたので、勉強の為に購入。

また、HTML5という技術オリエンテッドな話そのものには興味がない(覚えられないし、もう自分で作る気もない)が、特にテレビの進化とHTML5は密接な関係な気がしていて、裏側の状況も知っておきたいという気持ちもあった。

※文節に対する感想は、今までだと何に対する言及なのか読み辛かったので、原文の直後に記載するようにしてみました。


1:これまでのウェブは基本的に「何かを見るためのホームページ」でしたが、HTML5によって、これからのウェブは「何かをするためのプラットフォーム」になります。

⇒細かい揚げ足取りだが、インターネット初期からあるチャット・掲示板・BBSが実現出来てる時点で、すでにそうだったと言える。

2:W3Cによる、HTML5の規格化が完了するのは早くても2012年と見られています。

⇒ブラウザ毎の対応状況もチェックしたが、正直PC閲覧を前提とした場合は、時期早々だと思った。app storeに登録出来ない、したくないアプリの製作としては現状活用法があるように思う。

3:たとえば数ある家電製品の中でも、次なるインターネット端末として期待されているのがテレビです。これにHTML5を応用すると、友人同士で同じ番組を見ながらチャットしたり、自分の見ている番組の情報を友達の携帯に送信するなど、多彩な機能をアプリとしてインストールできます。

⇒テレビ端末は、ニコ動で既にやれてしまう事を、完全に後追いでやる事になるという事。機能追加ではなく、サービスとして、かつ “リビングで” やる事を踏まえた設計にしないと、”特に有難くない機能” で終わる可能性もあるな。

4:先に体操選手(ブラウザ・メーカー)が新しい技(機能)を開発してから、それに国際体操連盟(W3C)が厳密に技(機能)の定義をしています。つまり、どんな技術でも、それを開発している人が、実際には仕様を決めているのです。

⇒イノベーターとフォロアーの関係性と一緒だな。

5:グーグルは2010年末に「クローム・ウェブ・ストア」というオンライン・マーケットを開設しました。これはグーグル版「アップ・ストア」とでも呼ぶべき存在ですが、両社の違いは、クローム・ウェブ・ストアから提供されるアプリは、全てHTML5で製作されたウェブ・アプリであることです。これはサービス開始当初はクローム・ブラウザ上でしか使えませんが、いずれはクロームに縛られることなく、どんなOSやブラウザからも使えるようにすることを、グーグルは示唆しています。

6:日本のエレクトロニクス産業はかつての米国のように、このまま衰退の道を辿ってしまうのでしょうか?それとも起死回生の打開策を見出して、再び世界に羽ばたくこTができるのでしょうか?そのカギを握るのが、意外にもインターネット(ウェブ)産業という別世界から提供される、「HTML5」というオープン・プラットフォームなのです。その理由は、家電がインターネットと結び付くのに伴い、かつての純粋な「モノづくり(ハード)」から「プラットフォーム(サービス基盤)」へと、製造業の軸足がシフトしているからです。

7:「これからは製品(ハードウェア)単体ではなく、それに付随するサービスでも勝負して行かざるを得ない。特にインターネット系のサービスでは、グーグルやフェイスブックのように矢継ぎ早に新製品や新機能を投入し、ものすごい勢いでユーザーからのフィードバックをかけながら、それを改良して勝ち抜いて行く。こういうやり方は、我々も見習う必要がある。」(ソニー・技術開発本部・共通要素技術部門・副部長の田中浩一氏)

“しくみ作り実行隊” 発足! で書いた事だ。他者の同様な見解を目にして、ナルシズムに浸る・・・w

8:日本の大手メーカーは「冷蔵庫の中身をチェックし、在庫の無くなった食品をインターネットで自動注文する冷蔵庫」「人の排泄物を分析し、ユーザーの健康状態をインターネットで病院に知らせるトイレ」など、極めて興味深い製品を次々と開発し、これによってユビキタス・コンピューティングは社会的な注目を浴びて、流行語にもなりました。

うんコミュニケーション(ライフログ) で書いた妄想は既にハードウェアとしては実験されていたという事。子供の遊具としてハイテクトイレ等を作れば、しくみへの一歩となるか!?(彼らは無条件にうんこ大好きなので)

9:本質的な問題は、自社の製品やシステムだけでなく、異なるメーカー、異なる製品、異なる機種をつなぐための共通プラットフォームを構築できるかにあります。この点において、日本の総合電気メーカーは過去に貴重な経験を積んでいます。東芝、NEC、富士通、日立などは、1980年代のOSIプロジェクトを通じて、異なるメーカーのコンピューター同士を接続した経験を有しています。

⇒これは非常に興味深い。今後の日本の優位性を感じそうなエピソードではあるが、今の時代では強力な肥しとしては機能しなさそう。androidなどとの親和性を作り上げるメーカーが勝ちとなるのだろうが、SONYに代表されるような独自企画が既に今風なビジネスではない・・・。日本のandroid端末のしょぼさ加減からすると、ソフトウェア領域が増えていく今後は、日本は厳しいと思う。

10:たとえば「読者が活字に向ける視線を情報端末(デバイス)側が追跡し、ある単語に視線が釘付けになったら、その単語の意味を表示してくれる」、あるいは「ページ上で読者の視線が泳いだら、その直前にどこまで読んだかを端末が教えてくれる」という技術が既に開発されています。つまり単に「活字を目で追う」という動作にさえ、技術革新の余地は残されているのです。

⇒街で見かけた異性へのガン見具合を蓄積して、”お互いに見ていた統計リスト” などが作れる。これをベースにした出会い系サービスなんかも作れるな。

11:「日本の通信インフラであれば、動画コンテンツを配信するために、敢えて放送波を使う必要はない。一旦、テレビ局がHTML5(ウェブ)に踏み出せば、ユーザー(視聴者)はウェブを使って動画を見るようになる。そうなると放送局は、最早サービスやビジネス・モデルをコントロールできなくなる」(川森氏)

⇒3番に対して書いた事でもあるが、”リビングにある映像+サービス” と、個別のPCでは役割が違うハズ。その辺を整理しないと、テレビ局が盛り返す可能性が高まるのか、当たり前の流れのように落ちていくのかは、明確には言えないと思う。

12:メディアは今、モバイル・インターネットやブロードバンド、つまり「通信」を軸に生まれ変わろうとしています。そこでは伝統的メディア企業が、従来のプラットフォーマー的役割を奪われ、今後は「コンテンツ・プロバイダー」としての性格を色濃く帯びてきます。

各媒体の話とプロの仕事 で書いた

局は製作会社を押さえてCPになりニワンゴと上手くやるしかないだろう。いつまでも 「地デジに金かけたからもったいないし地方局が潰れちゃう」とか言ってたらCPにすら留まれないな。

に近い話だ。

13:かつて放送メディアが主流の時代には、放送用の電波を握っていた放送局がメディア(プラットフォーマー)の役割を担っていました。同様に、これから訪れる通信型メディア時代には、通信用の電波を握っているキャリアが、新たなメディアの役割を担うのは、ごく自然な展開ではないでしょうか。

⇒これはちょっと違うと思った。キャリアは土管屋と言えるインフラ機能しか持たなくなると思っている。BeeTV なんかの取組みがあったりするが、”接触時間がモバイルが増えているからモバイルでテレビを見れるようにする” という論理なのだろうが、”何故モバイル接触時間が増えているのか?” について不明瞭なままスタートしたサービスでしかない。BEE TVなんかは、ほぼワンセグがあれば必要ないものだ。

更にapp storeなど、サービスを配信する場所が既にキャリアの外で発生しているので、あくまでそこまで繋ぐインフラ機能しか残らないだろう。

キャリアは公式サイトの課金手数料がかなりの収益をあげているが、そのビジネスモデルを研究したiphoneのapp storeというしくみに、パクられて全て持っていかれるというのが今の流れだ。softbankは元々公式サイトの課金手数料が他社と比較して明らかに少なかったので、捨て身で “iphoneのインフラ屋” に徹する事が可能だが、特にdocomoは諸刃の剣なので、なかなか手を出せないハズ。

“生活者が欲しいのは有名人が出ている映像ではなくて、人とのおしゃべりのきっかけ”

この意識が無い限り、キャリアが強い立場になるなんて事はないと思う。

そぉいう意味では、facebookフォンなどを端末メーカーではなく、キャリア先導で発売し、facebookと業務提携なり買収されるなりした方が良さそう。

“生活者が欲しいのは電波ではなくて、人とのコミュニケーションインフラ”

であり、facebookは既にキャリアの電波よりプライオリティーは高い人も居るだろう。近い話で言うと、”電話とmixiへのアクセスどっちか一つだったらどちらを選ぶ?” という選択においては、若年層においては、面白い結果もありえると思う。


・・・ってな感じで、やはりHTML5そのものには興味はなく、それにまつわるビジネスの変化に興味が高いな。

一応仕事なのでレポートはまとめたのだが

・FLASH駆除がHTML5の目的ではない(代替出来る分野があるのは事実だが、ジョブズが分かりやすい敵として設定しただけの話)

・”WEBサイト製作における技術進歩” というよりは、全ての端末をネット経由で連動させる為の共通言語として捉えるべきでは?

・いずれにしても、HTML5を活用する事は目的にはならない。(駆け出しのマークアップエンジニアにとっては目的になるか?)

そんな感じでまとめました。

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